穴飾りが施された靴を「ブローグシューズ」と呼びます。
ブローグ(穴飾り)があるだけで靴が華やかな印象になりますが、そんなブローグシューズに種類があるのはご存知でしょうか?
この記事では、
- ブローグの装飾の種類
- ブローグシューズの種類
- お手入れのポイント
について解説していきます。
ブローグシューズの中でも特に有名なものに「ウィングチップ」という靴があります。
この記事を通じて、ウィングチップやその他のブローグシューズの特徴を知ってもらえると嬉しいです。
同じブローグシューズでも、デザインの違いで靴の印象がグッと変わるので、靴選びがより楽しくなりますよ。
ブローグシューズとは
ブローグシューズとは、穴飾り(ブローグ)がついている靴のことを言います。
ブローグシューズの起源は、16~17世紀ごろ、スコットランドやアイルランドに住んでいたケルト人が履いていた穴飾りのついた靴が起源です。
穴飾りはただのデザインではなく、濡れた湿原を横切ったときに靴に入った水を排水したりなど、通気性の目的のために施されました。
ケルト人が履いていたブローグシューズにイギリス人貴族が着目し、19世紀の終わりごろからは、狩りなどアウトドア用に履くための「カントリーシューズ」として普及したと言われています。
ブローグの装飾の種類
ブローグシューズに施される装飾の種類は、全部で4つあります。
- パンチドキャップトゥ
- パーフォレーション
- ギンピング
- メダリオン
4種類の装飾の違いを知っておくと、ブローグシューズの種類を見分けやすくなるのでチェックしていきましょう。
パンチドキャップトゥ
(引用:REGAL)
パンチドキャップトゥとは、つま先部分に直線の縫い目と穴飾りを施したデザインを言います。
ストレートチップに穴飾りがプラスされたようなデザインです。
ストレートチップとは・・・
つま先に一直線のラインの装飾が施された靴。
パーフォレーション
(引用:REGAL)
パーフォレーションとは、甲や側面の切り返し部分に施されている穴飾りを言います。
パーフォレーションの穴は、大きい穴(親穴)と小さい穴(子穴)が交互になっている親子穴で飾るのが一般的です。
パーフォレーションは靴全体に装飾されるので、落ち着きながらも華やかな印象になりますね。
ギンピング
ギンピングとは、切り返し部分の端がギザギザにカットされているデザインを言います。
ギンピングがあると立体感がプラスされ、躍動感が出て、アクティブな雰囲気になりますね。
メダリオン
メダリオンとは、つま先に施された穴飾りを言います。
一番目に入る場所にある装飾なので、メダリオンが施されている靴、パッと明るく華やかな雰囲気を感じます。
メダリオンでよく見る定番のデザインだと、鳥をモチーフにしたデザインや羊をモチーフにしたデザインなどがあります。
決まったデザインはなく、同じ動物のモチーフでも靴によってデザインが異なるのが、メダリオンの魅力のひとつです。
自由に模様を施すことができるので、ビスポーク(オーダーメイド)の靴には、履き主のイニシャルをモチーフにしたデザインを入れることもできます。
ブローグシューズの種類
ブローグシューズの装飾の種類について紹介してきましたが、この装飾の組み合わせによってブローグシューズの種類が4つに分類されます。
- フルブローグ
- セミブローグ
- クォーターブローグ
- アメリカンブローグ(ロングウィングブローグ)
それぞれの特徴を紹介していきます。
フルブローグ
(引用:REGAL)
フルブローグとは、
- パーフォレーション(切り返し部分の飾り穴)
- ギンピング(切り返し部分の端がギザギザにカット)
- メダリオン(つま先の飾り穴)
- ウィングチップ(つま先がWの切り返し)
の4つの装飾が施されているものを言います。
フルという名前のとおり、たくさんの装飾が組み合わせられ、とても華やかな雰囲気が特徴です。
セミブローグ
(引用:CARMINA)
セミブローグとは、
- パーフォレーション(切り返し部分の飾り穴)
- ギンピング(切り返し部分の端がギザギザにカット)
- メダリオン(つま先の飾り穴)
- パンチドキャップトゥ(つま先に直線の縫い目と飾り穴)
の4つの装飾が施されているものをいいます。
つま先は、フルブローグのウィングチップではなく、直線に飾り穴がついているパンチドキャップトゥになっています。
セミブローグの「セミ」には「半分の」という意味があります。
つま先がパンチドキャップトゥになったことで、名称の通り、ウィングチップよりも華やかさが半分抑えられ、控えめな印象を感じますね。
クォーターブローグ
(引用:REGAL)
クォーターブローグとは、
- ブローキング(切り返し部分の飾り穴)
- パンチドキャップトゥ(つま先に直線の縫い目と飾り穴)
が、施されているものを言います。
ギンピングは、あるものとないもの、どちらも存在します。
ブローグシューズ自体はカジュアルな靴に分類されますが、クォーターブローグはさりげない装飾感のため、スーツスタイルに合わせても主張しすぎずバランスが取りやすいです。
アメリカンブローグ(ロングウィングブローグ)
(引用:REGAL)
アメリカンブローグとは、フルブローグと同じく、
- パーフォレーション(切り返し部分の飾り穴)
- ギンピング(切り返し部分の端がギザギザにカット)
- メダリオン(つま先の飾り穴)
- ウィングチップ(つま先がWの切り返し)
の4つの装飾が施されています。
フルブローグとの違いは、ウィングチップのWの切り返しが、かかとのほうまで一直線に伸びており、そこまで穴飾りが施されている部分です。
その装飾から、別名でロングウィングチップとも呼ばれています。
飾り穴の範囲が多くなるため、よりカジュアルな雰囲気が強くなりますね。
ブローグシューズはビジネスで履いても大丈夫?
ブローグシューズのルーツは、アウトドア用のカジュアルな靴ですが、現在ではビジネスシーンでも履ける靴となっています。
色や種類の組み合わせを選べば、ブローグシューズでもビジネスにばっちり合わせることができますよ。
内羽根ストレートチップなどフォーマルな靴と比べると、ブローグシューズはかしこまりすぎず、ビジネスシーンでも柔らかい印象を与えることができます。
カジュアルダウンできるクールビズの時期などに、ブローグシューズを取り入れるのも良いですね。
ビジネスシーンでは黒か茶色の内羽根を選ぼう
ビジネスシーンに合わせやすいブローグシューズの色は、黒か茶色です。
また、靴の種類は内羽根式を選ぶと、フォーマル感がアップするためビジネスシーンに合わせやすくなります。
合わせやすいのは、黒の内羽根クォーターブローグ

最もフォーマル寄りでスーツにもあわせやすい
黒のクォーターブローグであれば、ブローグのなかでも最もフォーマル寄りなので、ビジネスシーンにも合わせやすいですよ。
華やかすぎず、どんなスーツスタイルにも合わせやすいので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
ブローグシューズのお手入れのポイント
ブローグシューズは、ブローグの部分にホコリがたまりやすくなるため、馬毛ブラシで念入りにブローグ部分をブラッシングするのがポイントです。
また、クリームを塗るときも、ブローグ部分はクリームが塗りにくいため、指や布ではなくペネトレィトブラシを使うのがおすすめです。
穴の中まで、しっかりクリームを塗ることができます。
まとめ
ブローグシューズについて紹介してきました。
【ブローグの装飾の種類】
名称 | 装飾 |
---|---|
パンチドキャップトゥ![]() |
つま先に直線の飾り穴 |
パーフォレーション![]() |
甲や側面の切り返しの飾り穴 |
ギンピング![]() |
切り返しの端をギザギザカット |
メダリオン![]() |
つま先の飾り穴 |
【ブローグシューズの種類】
名称 | 装飾 |
---|---|
フルブローグ![]() |
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セミブローグ![]() (引用:CARMINA) |
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クォーターブローグ![]() (引用:REGAL) |
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アメリカンブローグ (ロングウィングブローグ) ![]() |
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装飾の組み合わせによって、ブローグシューズは4種類に分類されましたね。
また、装飾が多いほどカジュアル、少ないほどフォーマルよりになり、色は黒や濃茶を選ぶとビジネスシーンにも合わせやすいです。
葬儀などかしこまった場にはブローグシューズはふさわしくないため、初めての1足にはおすすめできませんが、2足目以降で「ちょっと華やかな靴がほしい」という方には、候補にいれてみるのはいかがでしょうか。
レザーズでは、ほかにも様々な革靴の種類を紹介しているので、よかったらチェックしてみてくださいね。
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