革靴のアッパー(靴本体の部分)に使われる素材は、大きく分けると本革と合皮の2種類があります。
「合皮の革靴は安っぽい」「本革のほうが良い」という印象を持っている方も多いかもしれませんが、合皮の靴にもメリットがあり、一概に「ダメ」と決めつけてしまうのはもったいないです!
そこで、この記事では、
- 合皮と本革、それぞれのメリット・デメリット
- 合皮の革靴がおすすめな人
- それぞれのメリットを活かした使い分け方法
について紹介していきます。
合皮と本革、それぞれの特徴を知ることで、自分に合う革靴の選択肢が広がるはずですよ。
合皮とは
合皮とは、合成皮革の略称で、布地に合成樹脂を塗って革の質感に見せている、人工的に作られた革のことを言います。
表面に塗られている合成樹脂は、ビニール素材やプラスチック素材に似ているポリ塩化ビニール、ウレタン樹脂が使われることが多く、撥水性があり汚れにくいのが特徴です。
色や型押しなどの加工性も高いため、革靴だけでなくバッグやソファなど、ファッションアイテムからインテリアまで、幅広く使用されています。
合皮の革靴のメリット
合皮のメリットをまとめると、
- 水、傷、汚れに強い
- お手入れが簡単
- 価格が安い
の3つになります。
それぞれ詳しく解説していきます。
【メリット①】水や傷、汚れに強い
合皮は、本革に比べると水を通さず、傷も付きにくくなっています。
また、汚れがついても簡単に落とすことができるので、神経質にならずに履くことができます。
【メリット②】お手入れが簡単
合皮の革靴は、お手入れの手間がかからないのもメリットです。
普段のお手入れには本革の革靴で使うクリームなども必要ないため、ブラシでホコリを落とすだけでOK。
目立つ汚れがある場合は、濡れた布で軽く拭くだけでも簡単に汚れを落とすことができます。
【メリット③】値段が安い
合皮の革靴は、本革の革靴と比較すると、かなり安く手に入るものが多くあります。
今では、本革に近い見た目をしている革靴も増えているので、値段は安いのに安っぽく見えないものも多いです。
シーズンごとに買い替えたい方には、嬉しいですね。
合皮の革靴のデメリット
合皮のデメリット、
- 伸びにくい
- 寿命が短い
という点についても、チェックしておきましょう。
【デメリット①】伸びにくい
合皮は布に合成樹脂をコーティングして革のような風合いを出しているものなので、本革と違い、履いているうちに伸びて足に馴染むということはありません。
なので、履き始めからキツさを感じないサイズを選ぶことが必要になります。
【デメリット②】寿命が短く、ひび割れが起こる
合皮の革靴の寿命は、履いていても履いていなくても3年程度です。
本革は、履いていくうちに経年変化して味が出てくることが楽しみのひとつですが、合皮には経年変化はありません。
合皮の場合は経年劣化になり、時間がたつと表面が剥がれたりヒビ割れを起こしていきます。
また、使用頻度が低くても、加水分解を起こして劣化は進んでいくので、長く履くことには向いていません。
本革とは
本革とは、動物の皮膚が使われている、名前の通り本物の革のことです。
一般的に革靴に使われている本革は、表面に牛革、内側に豚革が使われています。
本革の革靴のメリット
本革のメリットは、
- 足になじみやすい
- 長く履ける
- エイジングを楽しめる
の3つです。
詳しくチェックしていきましょう。
【メリット①】足になじみやすい
天然の動物の革を使用しているので、人間の肌のように伸びやすくなっています。
履き始めは、ほんの少し窮屈な感覚があっても、履いているうちに革が伸びて足にフィットし、なじんでいきます。
【メリット②】長く履くことができる
お手入れをしっかり行えば、合皮のように表面がヒビ割れたりすることはありません。
また、ソールの交換もできるので、お手入れ次第では10年など長く履くことも可能です。
【メリット③】風合いや変化を楽しめる
本革は使えば使うほど、風合いや色が変化し、エイジングを楽しむことができます。
お手入れ方法や履きシワの付き方によってもエイジングの仕方が変わるので、「自分だけの革靴」という特別感も感じられますね。
本革の革靴のデメリット
続いて、本革のデメリットもチェックしていきましょう。
デメリットは、
- お手入れに手間がかかる
- 雨、水、傷に弱い
の2つになります。
【デメリット①】日常的なお手入れが必要
本革の革靴を長く履くためには、日常的なお手入れはかかせません。
定期的にクリームでお手入れするだけでなく、脱いだあとのブラッシングや保管方法でも、靴の寿命が変わってきます。
時間と手間はかかりますが、革が好きなら、きっとお手入れも楽しみのひとつになるはずです。
【デメリット②】雨、水、傷に弱い
本革は、少しぶつけただけで傷がつきやすく、雨や汚れでシミができやすいです。
また、傷をカバーしたり、濡れたり汚れたりした後の適切なお手入れも必要になります。
最近では、水や傷、汚れに強い加工をされた革もありますが、加工を施すことで革本来の風合いは少なくなっています。
合皮と本革、どちらの革靴を選ぶべき?
「合皮の革靴はダメ。本革を選びましょう」という情報もよく見受けられますが、合皮の革靴は悪いものではありません。
合皮には合皮の良さ、本革には本革の良さがあるので、自分のライフスタイルや好みに合う方を選んだり、合皮と本革の革靴を揃えて使い分けたりするのがおすすめです。
合皮がおすすめな人
- シーズンごとなどこまめに買い替えたい
- お手入れが面倒
- 汚れや傷がつきやすい環境で履くことが多い
という方は、合皮の革靴がおすすめです。
合皮は寿命が短いですが、値段が安いので劣化しても買い替えやすいですし、いろんなタイプの靴を楽しむことができます。
また、お手入れが簡単なので、布で拭き取るだけでキレイな状態を保ちやすいのも便利ですね。
本革がおすすめな人
- 1足を長く履きたい
- お手入れを楽しみたい
- エイジングや風合いを楽しみたい
経年変化や、自分の足になじんで長く履くことを楽しみたいという方は、本革の革靴がおすすめです。
履いたあとのブラッシングや保管方法、定期的にクリームを塗るなど、お手入れの手間はかかりますが、革のエイジングが好きなら、そのお手入れも楽しみのひとつになるはずですよ。
合皮と本革を使い分けするのもおすすめ
どちらか一方だけを選ぶのではなく、それぞれのメリットを活かして、使い分けするのもひとつの方法です。
例えば、
- 雨や汚れそうな日専用で合皮の革靴を1足、普段の日は本革の革靴を履く。
- 靴を酷使するので、普段履きは合皮で揃える。特別な日用に本革の革靴を1足。
など、自分のライフスタイルに合わせて使い分けするのもおすすめです。
合皮と本革の見分け方
合皮と本革の見分け方でよくあるものが、
- 革の断面を見る
- 感触を確かめる
- 折り曲げて、曲がり方や毛穴を見る
- 匂いをかぐ
などがありますが、最近では合皮の革靴でも見た目は本皮の風合いに近いものも増えているため、見分けるのが難しくなっています。
また、本革でも、コーティング加工をしたガラスレザーなど見分けにくい革もあるため、店員さんに確認するのが間違いありません。
特に本革の場合は、傷やシワがつきやすいため、確認するのにベタベタ触ったり、折り曲げたりするのはマナー違反です。
まとめ
革靴の素材である、本革の合皮の特徴や違いについて解説してきました。
【本革と合皮の違い】
- 本革は、動物の皮膚が使われた天然素材
- 合皮は、布に合成樹脂を貼付けて、革の質感に似せた人工素材
【本革と合皮のメリット・デメリット】
本革 | 合皮 | |
メリット |
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デメリット |
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【合皮と本革、どちらの革靴が良い?】
- お手入れに手間をかけたくない、こまめに買い替えたい方は合皮がおすすめ
- 1足を長く履きたい、経年変化や革の手入れが好きという方は本革がおすすめ
- ライフスタイルに合わせて、合皮と本革を揃えて使い分けるのもおすすめ
【本革と合皮の見分け方】
- 最近は合皮も本革の見た目に近いものが多いため、店員さんに聞くのがベスト。
- 本革は傷やシワが付きやすいので、触り過ぎたり曲げたりするのはマナー違反
というのがポイントでしたね。
合皮も本革も、それぞれ良いところがあります。
「革靴は本革じゃないとダメ」ということはないので、自分のライフスタイルや好みに合わせて選んだり、使い分けできるのが一番ですね。
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