ローファーというと「学生時代に履いていた靴」という印象をお持ちの方も多いはず。
ですが、近年ではスーツやカジュアルスタイルに合わせて履く人も多く、「履きこなせると、オシャレな靴」というイメージも定着しています。
紐靴よりも、柔らかい雰囲気で抜け感のあるローファーは、休日のリラックススタイルにもピッタリです。
この記事では、
- ローファーの特徴や種類
- 初めてのローファーにおすすめなタイプ
- サイズ選びの注意点
- お手入れのポイント
など、ローファーの魅力やポイントをまとめて解説していきます。
目次
ローファーとはどんな革靴?
ローファーは、紐靴がなく簡単に脱ぎ履きができるデザインが特徴です。
ローファーのルーツは、1920年代の英国王室や貴族の室内履き(ルームシューズ)だと言われています。
脱ぎ履きが楽な利便性の良さと、デザイン性から外履きとしても作られるようになり、流行して定番の靴の種類のひとつとなりました。
ローファーという名前の由来は、「Loafer(怠け者)」からつけられています。
紐を締めずに簡単に脱ぎ履きできる様を、「怠け者が履く靴」と考えられたことからつけられたようです。
「怠け者」が由来の靴が日本の学生靴の定番になっているのは、なんだか面白いですよね。
ローファーの種類とデザイン
コインローファー | タッセルローファー | ビットローファー | ヴァンプローファー | キルトローファー |
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ローファーのデザインは主に4種類。
- コインローファー
- タッセルローファー
- ビットローファー
- ヴァンプローファー
- キルトローファー
甲のデザインや、ついている飾りによって分類されています。
それぞれの特徴を詳しくチェックしていきましょう。
コインローファー(ペニーローファー)
(引用:REGAL)
学生靴でもおなじみの定番のローファーが「コインローファー」です。
コインローファーの特徴は、サドル(甲に縫い付けられているベルトのような部分)に切れ込みが入ったデザインですね。
1950年代にアメリカの学生の間で、この切れ込み部分に1セント硬貨をお守りのように差し込むというのがファッションとして流行し、名前の由来となっています。
1セントは1ペニーとも呼ぶため、ペニーローファーとも呼ばれています。
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私達にとっては学生の靴としての印象が強いコインローファーですが、細身でスタイリッシュに見えるデザインを選ぶと、学生靴とは違う「オシャレな大人の靴」という雰囲気を感じますね。
シンプルなデザインですが、サドルの切れ込みのデザインやモカ縫いによって靴の雰囲気が大きく変わります。
ディテールにこだわって選ぶ楽しみも、魅力のひとつです。
タッセルローファー
(引用:REGAL)
甲にタッセル(房飾り)がついたローファーを「タッセルローファー」と呼びます。
元々タッセルは、靴紐についている飾りでした。
ハリウッド俳優のポール・ルーカスが「もっとシンプルなデザインのタッセルの靴が欲しい」と靴メーカーに依頼して作られたのが甲にタッセルをあしらったデザインでした。
そのときに靴メーカーから依頼されて製作したのが、有名な靴ブランドの「オールデン」です。
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その後、アメリカントラッドの代表格であるブルックスブラザーズがタッセルローファーを製作し、アメリカ東海岸で大流行となりました。
学生時代にコインローファーを愛用し、ローファーに慣れ親しんできた人々が「ビジネスでも履けるローファー」としてタッセルローファーを履くようになったのがブレイクのきっかけだったそうです。
そんな起源から、タッセルローファーは華やかさがありスーツにも合わせやすいのが特徴です。
大流行した当時、弁護士の愛用者も多かったため「弁護士の靴」とも呼ばれていました。
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ローファーといえば、つま先がモカ縫いされているものが多いですが、タッセルローファーには、つま先になにも縫い目がないプレーントゥのものもあります。
シンプルなプレーントゥに華やかなタッセルだけが装飾されている…ミニマムなデザインがとても素敵ですね。
ビットローファー
(引用:REGAL)
甲に金属の飾りがついているデザインを「ビットローファー」と呼びます。
この金属の飾りはホースビットと呼ばれ、馬の口にはめる「くつわ」がモチーフとなったデザインです。
もともとはレディース用の鞄にあしらわれていた金具ですが、それをGUCCIがローファーに採用したのが始まりでした。
俳優たちがこぞって身につけたことで、ビットローファーは有名になり定番アイテムとして定着していきました。
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きらびやかな金具が靴の中心にあしらわれているので、エレガントでゴージャスな雰囲気のある靴です。
一方で、ギラギラと下品な印象を与えてしまう場合もあるため、服装など全身のバランスにより注意が必要な種類でもあります。
履きこなすのが難しい上級者の靴とも言えるでしょう。
ヴァンプローファー
(引用:CARMINA)
サドルやタッセル、金具などの装飾が一切ないデザインを「ヴァンプローファー」といいます。
つま先がモカ縫いされているものや、プレーントゥのものなど様々なバリエーションがあります。
(引用:REGAL)
ヴァンプローファーの中でも有名なのが「コブラヴァンプ」と呼ばれるデザインです。
つま先がやや上向きで尖ったポインテッドトゥに、甲に曲線的にあしらわれたモカ縫いのデザインが毒蛇のコブラを連想させることから、その呼び名が付きました。
シンプルなのに存在感のある形状をしているコブラヴァンプは、ほかのローファーの種類よりも無骨でワイルドな雰囲気があります。
キルトローファー
(引用:G.H.BASS)
甲の部分に、フリンジのようなキルトが装飾されている「キルトローファー」
キルトは外羽根やブーツなど他の革靴にも使われていますが、一番定番なのがローファーとの組み合わせです。
タッセルローファーとキルトを組み合わせた「キルトタッセル」やコインローファーと組み合わせた「コインキルトローファー」など、様々な組み合わせを楽しむことができるのも魅力です。
キルトはビジネスシーンでは不向きなデザインのため、カジュアルで履くのが一般的となります。
ローファー5種類を比較
コインローファー | タッセルローファー | ビットローファー | ヴァンプローファー | キルトローファー |
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サドルに切れ込みの入ったデザイン | 甲にタッセルをあしらったデザイン | 甲に「くつわ」がモチーフの金具 | 装飾が一切ない | フリンジのようなキルトが装飾 |
定番デザイン。カジュアル向け | スーツにも合わせやすい | 金具がきらびやかなので全身バランスに注意 | カジュアル向き | カジュアル向き |
紹介してきたローファー5種をまとめました。
自分に合うもの、好みのデザインを選べるというのも、ローファーの魅力のひとつですね。
ローファーはビジネスシーンに履いても良い?
スーツにローファーを合わせてビジネスシーンでも履いている方もよく見受けられますが、基本的にはローファーはフォーマルな靴ではありません。
「怠け者」の名前の由来のように、紐のない靴はカジュアルな靴として認識されています。
そのため正式なビジネスシーンには不向きですが、絶対に履いてはいけないというわけではありません。
職種だったり、職場での服装がカジュアルよりであればビジネスシーンでも合わせることが可能です。
また、自宅に伺う仕事で脱ぎ履きが多いなどの場合もローファーは利便性が高いでしょう。
職種や内容によって相手に失礼がないのなら、ビジネスシーンにローファーを着用するのはNGではありません。
冠婚葬祭にローファーはダメ
学生さんはローファーの着用が制服となっているためOKですが、社会人の場合は冠婚葬祭にローファーはふさわしくありません。
華やかな結婚式など、洒落たスーツにローファーを合わせたくなるかもしれませんが、相手に対するマナーとして内羽根もしくは外羽根の紐靴を選ぶのがおすすめです。
初めてローファーを買うならコレがおすすめ
初めてのローファーを選ぶなら、定番のコインローファーかタッセルローファーから選ぶのがおすすめです。
スーツでもカジュアルスタイルでも合わせやすいですし、定番のデザインなので流行に左右されず長く履くことができます。
カラーは、ダークブラウンや黒、バーガンディー、ネイビーなどの暗めの色を選ぶと、どんな服装にもなじみやすいでしょう。
ローファーはサイズ選びが難しい
紐靴と違い足に合わせて調整する機能がないため、ローファーをはじめスリップオンタイプの革靴はサイズ選びが非常に難しいです。
簡単にサイズを合わせられないことは覚悟し、しっかりフィッティングをしながら快適に履けるサイズを見つけましょう。
ローファーのサイズを選ぶときに必ずチェックしておきたいポイントは2つあります。
スリップオンとは・・・
紐や留め金具がなく、足をすべり入れて簡単に履けるタイプの靴。略語で「スリッポン」とも呼ばれる。
かかとが抜けないものを選ぶ
ローファーを選ぶのに大事なのは、「かかとのフィット感」です。
すぽすぽ抜けてしまうと、歩きにくいですし靴擦れの原因にもなります。
フィッティングの際は、歩いたりつま先立ちの動きをしてみて、かかとが上下する動きに靴がしっかりついてくるか確認しましょう。
甲の押さえがちょうどいいか
もうひとつ大事なのが「甲の部分の押さえが適切か」です。
甲の押さえが緩いと、歩行時に足が靴の中で動いてしまい、脱げやすくなってしまいます。
また、押さえが強すぎるのも、長時間履いたりむくみが出やすい時間帯に痛みになってしまうので注意。
痛みのない、適度な圧迫を感じるサイズを探しましょう。
ローファーのお手入れのポイント
基本的なお手入れの方法は、ほかの革靴と代わりありません。
お手入れのポイントとしては、細かい縫い目やパーツ部分のホコリや汚れをしっかり落としてあげること。
つま先のモカ縫いやサドルや金具など、装飾部分に汚れが溜まりやすいので、そこを意識してブラッシングをしましょう。
ホコリや汚れが落としきれないと、革が乾燥し、ヒビ割れなどの原因となります。
まとめ
定番の革靴のひとつ、ローファーについて紹介してきました。
- ローファーには大きく分けて5種類のデザインがある
- 初めて買うなら定番のコインローファー、タッセルローファーがおすすめ
- カジュアルよりの靴なので観光総裁などフォーマルシーンではNG
- ビジネスでの着用は職種に合わせて。相手に失礼がなければOK
- サイズ選びは「甲の押さえ」と「かかとが抜けないか」の2つがポイント
- お手入れは、ホコリの溜まりやすい縫い目や装飾部分を念入りに
がポイントでしたね。
カジュアルな靴なので、初めての1足には紐靴のほうが向いていますが、「休日にもオシャレな革靴を履きたい」「柔らかい雰囲気の革靴を履きたい」という方には、ローファーも良い選択肢のひとつとなるでしょう。
レザーズでは、ほかにも様々な種類の革靴で紹介しているので、よかったらこちらもチェックしてみてくださいね。
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