エナメルの革靴について|雨でも履ける?正しいお手入れと保管法を紹介

光沢が美しく、高級感のあるエナメルの革靴。

「高級感があってスーツに合わせやすそう」「ツルツルだからお手入れが簡単そう」と気になっている方も多いはずです。

ですが、エナメル革靴は、履けるシーンが限定されたり、保管方法に気をつけなければいけなかったりと、意外と気難しい革靴でもあります。

この記事では、

  • エナメルの特徴
  • どんなシーンで履ける?
  • 正しいお手入れ方法と保管方法

について、紹介していきます。

エナメルとは

(引用:CARMINA)

エナメルとは、革の表面をポリウレタン樹脂などでコーティングしてツルツルな光沢感のある状態に仕上げた革をいいます。

表面がコーティング加工されているため、防水性があり汚れにも強いのが特徴で、乾拭きするだけで光沢感が半永久的に持続します。

パテントレザーという呼び名もあり、1810年ごろ、アメリカで水や汚れに強くて丈夫な革として発明され、特許(パテント)を得たことが、名前の由来です。

現在は、コーティングにポリウレタン樹脂が使用されるのが主ですが、そもそもは樹脂ではなく、ワニスと顔料を混合した「エナメル塗料」を使用していました。

そのエナメル加工された革のことを「エナメル」と通称するようになり、その名前が一般的となっていきました。

強そうに見えて、実はデリケートなエナメル

(引用:CARMINA

表面がコーティングされているので丈夫そうなイメージがありますが、エナメルは意外と繊細な革です。

温度や湿度の急激な変化に弱く、冬場は乾燥してヒビ割れしたり、夏場は樹脂が溶け出してベタつきや表面剥離を起こしてしまう場合も。

お手入れ自体は非常に簡単ですが、保管方法に注意する必要があります。

お手入れや保管方法については、後半で解説していきますね。

エナメル革靴はどんなシーンで履ける?

特別な光沢感のあるエナメル革靴は、普段履きとしては合わせにくく、使えるシーンが限られてしまうのがデメリットです。

エナメル革靴におすすめのシーンと、不向きのシーンを解説していきます。

パーティーなどの礼装用としておすすめ

エナメル革靴は、結婚式やパーティーなど、華やかな場面に合わせるのに適している革靴です。

エナメルは、元々は水や汚れに強い革として作られましたが、光沢感があり、靴墨が不要なことから「パーティーの場で女性のドレスを汚さない靴」としての用途が定着していきました。

その歴史から、現在でもエナメル革靴は、華やかなシーンに合わせる靴として認識されています。

燕尾服やタキシード、オシャレなスーツスタイルなどの時に、上半身に負けず、足元にも華やかさをプラスしてくれる存在感がありますね。

ビジネスシーンや葬儀など、控えめな場には不向き

反対に、お葬式など控えめなシーンにおいては、エナメルの高級感のある光沢は不向きです。

控えめの礼服と合わせると光沢感の主張が強く、足元だけ悪目立ちしてしまいます。

また、ビジネスシューズとしてもあまりおすすめできない革靴です。

エナメルは傷がついてしまうと補色や補修が難しく、通勤や外回りなど、傷つきやすい環境で履くにはあまり適しません。

ビジネスマンとしてキレイな靴を履くのはもちろん大事。ですが、エナメルの光沢感は、ビジネスシーンにおいては装飾品のような印象を与えてしまいます。

ビジネスシーンに合わせるなら、エナメルよりも光沢感が控えめなガラスレザーの革靴や、革本来のツヤ感を持つスムースレザーの革靴を選んだほうが、全体のバランスが良いでしょう。

水に強い?雨の日に履いても良いの?

元々は水や汚れに強い素材として作られましたが、エナメルはデリケートな素材のため、雨の日に履くのはおすすめできません。

表面がコーティングされているため、普通の革のように水シミができないという点においては水に強いと言えます。

ですが、湿度や温度変化に弱いため、水に濡れたあとに乾燥してヒビ割れてしまったり、シワができてしまうことがあるのです。

また、温度変化によってコーティングが劣化してしまい、せっかくの光沢感がなくなってしまう場合も。

エナメルをキレイな状態で履きたいという方は、なるべく室内や晴れた日に履くようにしましょう。

エナメル革靴はこんな人におすすめ

  • 結婚式のゲスト用として1足持っておきたい
  • 式典やパーティーなど華やかな場に参加することが多い

エナメルは、日常で履くには光沢感がありすぎて合わせにくい革靴です。

また、傷をつけると補修が難しいので、そういう点でも普段使いするタイプの革靴ではないと言えますね。

反対に、パーティーなど華やかな場面にはピッタリの革靴です。

エナメルの光沢感が好きな方は、特別な日のために1足揃えておくのも良いでしょう。

必需品な革靴ではありませんが、足元の装飾品として光沢感を楽しみたい方におすすめですよ。

エナメル革靴のおすすめブランド

タキシードや燕尾服、スーツに合わせることが多いので、エナメル革靴を買うなら、フォーマル度の高い内羽根タイプを選ぶのがおすすめです。

内羽根とは、上の写真のように、紐を通す部分(羽根)が内側に縫い付けられている革靴を言います。

エナメル革靴のおすすめのブランドを紹介します。

HILTONのストレートチップ【内羽根式】【プレミアム】

HILTON
ストレートチップ【内羽根式】【プレミアム】
24,200円(税込)

販売店で見る

イタリア老舗メーカーのフォーマルシューズ

確かなものづくりと伝統を受け継いでいるイタリアの老舗メーカー「HILTON」のエナメルストレートチップ。エナメルの上品さと、ミシン糸が見えない特殊な縫製技術であるレベルソ仕立てを採用したフォーマル感強めの1足です。
日本人の足に合わせ底幅にゆとりをもったラウンド木型を使用し、履き心地も◎

リーガルのプレーントゥ

内羽根(引用:REGAL

手頃な価格のエナメル革靴から試してみたいという方は、日本の定番ブランド、リーガルのプレーントゥ(426RBD)がおすすめです。

パーティーシーンに対応した正統派なフォーマルシューズとして作られているので、かっちりしたいけど華やかさもほしいという場面にピッタリですね。

価格も3万円以下と手を出しやすい値段ですし、国内ブランドなので店舗も多く、しっかりフィッティングして購入できます。

パーティーや式典では立っている時間も多いので、履きやすさも重視したい方に向いています。

カルミナのストレートチップ

(引用:CARMINA)

少しランクアップしたエナメル革靴がほしい方には、スペインの靴ブランド「カルミナ」のストレートチップ(80386)がおすすめです。

エナメルの光沢感に加え、スタイリッシュな木型で作られているので、エレガントで美しさが際立ちます。

とても丁寧な作りで品質も高いブランドなので、特別な日の1足にはピッタリです。

エナメルを長持ちさせる!お手入れ方法と保管方法

エナメルは、デリケートな素材のため、保管方法が悪かったり雑に扱うと、すぐにダメになってしまいます。

長持ちさせるには、履いたあとのお手入れと、普段の保管方法がとても大事なんです。

ここからは、エナメル革靴を履いてから保管するまでの手順を紹介します。

①脱いだらシューキーパーを入れる

ほかの靴もそうですが、特にエナメル革靴の場合は、履いたあとにシューキーパーを入れて履きシワをしっかり伸ばすことが大事です。

エナメルは、革本体と表面に塗られた樹脂の2層構造になっているので、断面が分厚く、深いシワが入りやすくなっています。

履きシワからヒビ割れしてしまうと修復できないので、必ずシューキーパーを入れて履きシワを伸ばしておきましょう。

②直射日光が当たらない、風通しの良い場所に陰干しする

履いたあとは、直射日光が当たらない通気性の良い場所に陰干しして、靴の中に溜まった水分を乾かします。

すぐに下駄箱にしまい込んでしまうと靴の中に湿気が溜まってしまうので、2~3日は風通しの良い場所で乾かしておきましょう。

③エナメル専用クリーナーを使って乾拭きする

(引用:amazon)

エナメル専用のクリーナーがあるので、それを使って乾拭きをします。

汚れやホコリも落としてくれるので、特にブラッシングしなくてもクリーナーを使って乾拭きするだけでOKです。

お手入れ自体はとっても簡単なんですね。

ホコリが付着した状態でしまうと乾燥しやすくなってしまうので、保管する前には必ずクリーナーを使って汚れを落としておきましょう。

エナメル革靴を布で拭き取るときは、ガラス拭きのように直線に動かして拭きあげるのが光沢をだすコツです。

③箱には入れず、湿度や温度変化が少ない場所に保管する

エナメル革靴をキレイにお手入れしたら、シューキーパーを入れたまま保管します。

長期間履かない革靴は箱に入れてしまう方も多いと思いますが、エナメルの場合は、箱に入れるのはNGです。

箱の中で湿気や温度が高くなりやすく、エナメルの樹脂膜を溶かしてしまう場合があります。

箱に入れずそのまましまっておくと、普段の下駄箱の開け締めで状態を確認できますし、空気の入れ替えもできるので、湿気が溜まりにくくなります。

また、エナメルは他の素材から色移りをしてしまうこともあるため、靴同士を密着させないようにしまうのもポイントです。

【注意】エナメル革靴に防水スプレーは絶対使わないで

靴磨きの仕上げに防水スプレーを使う方は多いと思いますが、エナメルには防水スプレーは使わないようにしましょう。

防水スプレーは、表面にフッ素樹脂の膜を張って防水効果を出すため、エナメルに使ってしまうと、エナメルの光沢感を曇らせてしまいます。

先ほども説明したように、エナメルは温度変化や湿気に弱いため、水に濡れるような場面で履くことはおすすめしません。

万が一に備えたいという場合も、エナメルは防水スプレーをしなくても、樹脂層が水を弾いて水シミができることはないため、防水スプレーは不要です。

濡れてしまったら、湿気がたまるまえに、水気を軽く拭き取る応急処置をしておきましょう。

まとめ

華やかな光沢感を持つ、エナメルについて紹介してきました。

【エナメルの特徴】

  • 革の表面にポリウレタン樹脂でコーティングを施した光沢感のある革
  • 防水性があり汚れにも強いが、温度変化や湿度に弱い
  • ビジネスやお葬式には不向き。パーティーなど華やかな場面に向いている。
  • 濡れたあとの温度変化に弱いため、雨の日には履かないほうが良い
  • 防水スプレーはエナメルの光沢感を曇らせてしまうので、絶対に使わない

【おすすめエナメル革靴のブランド】

HILTON ストレートチップ
リーガル プレーントゥ(426RBD)
内羽根(引用:REGAL
CARMINA ストレートチップ(80386)
(引用:CARMINA)

 


【お手入れ方法と保管方法】

(引用:amazon

  1. シューキーパーを入れてシワを伸ばす
  2. 直射日光の当たらない、風通しの良い場所に2~3日陰干し
  3. エナメル専用クリーナーで乾拭きする
  4. 箱にしまわず、温度変化と湿度が少ない風通しの良い場所に保管

というのがポイントでしたね。

エナメルは繊細な素材のため、普段履きにはあまり向いていませんが、特別な日に力を発揮してくれる革靴です。

また、お手入れは簡単ですが、履いたあとのケアと保管方法が長持ちさせる大事なポイント。

エナメルは光沢感がなくなったり、シワがついてくたびれた感じが出ると、一気に安っぽい雰囲気になってしまいます。

トラブルが起きないように、必ず適切な保管方法で、丁寧に扱いましょう。

レザーズでは、他にも革靴の素材について紹介しています。

別の記事もお読みいただき、自分に合う革靴を見つけてみてくださいね。

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