甲の部分に特徴的なWの切り返し、穴飾りと、華やかな装飾がたっぷりの革靴「ウィングチップ」
シンプルな革靴を1足持っている方は、2足目、3足目の選択肢としてチェックしている方も多いはず。
華やかな革靴だからこそ、「ビジネスシーンで履いてもいいの?」「コーディネートが難しそう」「ダサくならないか心配」など、不安要素を感じている方もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事では
- ウィングチップの特徴や種類
- ビジネスシーンでの選び方、合わせ方
- TPOに合わせたコーディネートのポイント
を紹介していきます。
不安要素を解消し、お気に入りのウィングチップを見つけていただけると嬉しいです。
目次
ウィングチップとは
(引用:REGAL)
ウィングチップとは、つま先部分にW字型の飾り革が縫い付けられている靴の名称です。
よく「ウィングチップ=穴飾りがある靴」と誤解している方がいますが、穴飾りのあるウィングチップも、穴飾りのないウィングチップもあります。
「ウィングチップ=W字の飾り革がついている靴」「ブローグシューズ=穴飾りがある靴」というのが正しい認識なので、このように覚えておけば間違いありません。
ウィングチップは、Wの形が鳥の翼のように見えることからウィングチップという名前がつけられたと言われています。
日本では、Wの形がおかめの髪の生え際に似ていることから「おかめ飾り」と呼ばれることもあるそうです。
ウィングチップは、アイルライドやスコットランドに住むケルト人の労働者が履いていた靴がルーツといわえています。
高地に住むケルト人は、湿った地形を移動する際に水はけや通気性を良くするため、穴飾りを施した靴を履いていました。
それが19世紀頃にイギリス人貴族達の目に止まり、ハンティングなどアウトドア用として履くカントリーブーツとして採用されました。
その後、ブーツだけでなく短靴のデザインとしても使われ、W字の飾り革も取り入れた内羽根のウィングチップが定番化していきました。
と、いうように労働者の靴やカントリーシューズがルーツのため、ウィングチップや穴飾りがついた靴は、フォーマルではなくカジュアルな靴として認識されています。
ウィングチップの種類
ウィングチップには3つの種類があります。
- フルブローグ(ウィングチップ)
- アメリカンブローグ(ロングウィングチップ)
- ブラインドフルブローグ(ステッチドフルブローグ)
それぞれの特徴を紹介していきます。
フルグローグ(ウィングチップ)
(引用:REGAL)
ウィングチップ自体も装飾のひとつなので、
- メダリオン(つま先の穴飾り)
- パーフォレーション(側面や履き口にある大小の穴飾り)
- ギンピング(革の端をギザギザにカット)
と、組み合わされることが一般的となっています。
イギリスではこの4つの装飾が施された靴を「フルブローグ」と呼びますが、アメリカや日本では「ウィングチップ」と呼ばれることが多いです。
なので、「ウィングチップ=穴飾りがある靴」ではありませんが、日本で一般的に「ウィングチップ」といえば、この4つの装飾が施されたフルブローグの靴のことを言っていると思ってもよいでしょう。
アメリカンブローグ(ロングウィングチップ)
(引用:REGAL)
アメリカンブローグとは、フルブローグがアメリカ流にアレンジされた誕生した靴です。
別名のロングウィングチップの名の通り、ウィングチップの両端が、かかとまで一直線に伸びて繋がっているのが特徴です。
フルブローグよりも大胆さがあり、カジュアルな印象が強くなります。
ブラインドフルブローグ(ステッチドフルブローグ)
(引用:CARMINA)
ブラインドフルブローグとは、フルブローグからメダリオンやパーフォレーションの穴飾りやギンピングをなくし、ウィングチップのステッチ(縫い目)のみで仕上げている靴を言います。
装飾が引かれた分シンプルで、ウィングチップの種類の中では一番ドレッシーな種類といえるでしょう。
既成靴ではあまり見かけないデザインのため、履いている人も少ない種類です。
探すのは難しいですが、人と被りたくない、少し変わった靴を履きたい、という方は選択肢に入れてもいいかもしれませんね。
ウィングチップはビジネスシーンで履ける?
結論からいうと、ビジネスシーンでスーツとウィングチップを合わせて着用することはOKとされています。
ですが、ウィングチップは元々カントリーシューズがルーツのため、どちらかと言えばカジュアルスタイルよりの靴です。
ふさわしくない色や、着用NGのシーンもあるので、選ぶのに注意が必要です。
ウィングチップはフォーマルな靴ではないので注意
革靴は、装飾が増えるほどフォーマル度が下がります。
そのため、ウィングチップは、つま先になにもないプレーントゥや、一直線のステッチが入っているストレートチップと比べるとフォーマル度が低いです。
ウィングチップをビジネスシーンで履くのはOKですが、フォーマルさを求められる場面ではウィングチップの着用は避けましょう。
革靴の装飾も、アクセサリーなどの装飾品と同じように考えると場面に合わせて選びやすくなります。
履いていく場所やそこで会う人との関係性が、装飾品を身に着けることが許される場面なのか。
例えば、葬儀、面接、かしこまった商談、親しくない目上の方と合う場面などは、装飾品はふさわしくありませんよね。
そういった場面では、ウィングチップなど装飾された靴は避け、ストレートチップやプレーントゥの内羽根などフォーマル度が高い靴を選ぶと良いでしょう。
ビジネスシーンで合わせやすいウィングチップなら
(引用:三陽山長)
ビジネスシーンにウィングチップを合わせるなら、黒の内羽根がおすすめです。
また、ウィングチップの種類はフルブローグかブラインドフルブローグを選びましょう。
革靴で一番フォーマルな内羽根と、一番フォーマルな色の黒を選べば間違いありません。
イギリスでは、黒の内羽根ウィングチップはビジネス用、ブラウンは休日用という認識があるそうです。
(引用:三陽山長)
クールビズなどで少しカジュアルダウンしたい場合は、濃茶を選ぶのも良いでしょう。
ウィングチップはスーツスタイルにも合わせやすいですが、職場や職種によってはあまり良い印象を持たれない場合もあります。
それを踏まえた上で、ご自身の環境に合わせて判断するのがおすすめです。
ウィングチップのTPOに合わせたコーディネートを紹介
靴選びに大事なのは、TPOを合わせて選ぶこと。
ここからは、ウィングチップを使ったTPOに合わせたコーディネートを紹介していきます。
スーツに合わせるなら
スーツスタイルにもしっかりマッチするウィングチップ。
ビジネスシーンやスーツスタイルのコーディネートをまとめました。
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ウィングチップをビジネスシーンに履くなら、先程もおすすめしたように、やっぱり黒の内羽根のフルブローグは合わせやすいですね。
華やかすぎず、カッチリしすぎず、柔らかな印象を与えることができます。
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薄めの色のスーツスタイルにも、黒の内羽根のウィングチップが映えますね。
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紺や青系のスーツには、濃茶のウィングチップも相性が良いです。
黒以外のウィングチップでも、黒など暗い色の靴下と合わせれば足元が明るくなりすぎずビジネススタイルにも派手すぎません。
休日のカジュアルスタイルに合わせるなら
ウィングチップは休日のリラックススタイルでも足元をバッチリ決めることができます。
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シンプルなシャツとチノパンにウィングチップ。
カジュアルな茶色の外羽根のウィングチップなので、革靴だけどキマりすぎず柔らかい雰囲気が出ていますね。
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ウィングチップはデニムとも相性バツグン。
黒のカッチリしたウィングチップをあわせることで、足元が引き締まります。
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モノトーンスタイルとウィングチップの組み合わせ。
ウィングチップの装飾感があることで、シンプルになりすぎません。
【白黒のウィングチップ】コンビ靴ならWが映える
(引用:REGAL)
2色の革で作られた靴をコンビ靴といいます。
ウィングチップのコンビ靴は、Wの切り返しが映えるので特に人気です。
とても華やかに目立つので上級者向けの靴となりますが、コンビ靴に惹かれる方はチャレンジしてみるのも良いかもしれません。
おすすめのウィングチップシューズ

ビジネスシーンから休日のタウンユースまで
ジャケット&スラックススタイルによく似合うスタイリッシュなウィングチップシューズ。
上品さとこなれ感がありながら手頃な価格でコスパの高い1足です。
まとめ
フルブローグ | アメリカンブローグ | ブラインドフルブローグ |
---|---|---|
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翼のようなWの切り返しが特徴のウィングチップについて紹介してきました。
- ウィングチップは甲にWの切り返しが装飾された靴の名称
- ウィングチップの種類は「フルブローグ」「アメリカンブローグ」「ブラインドブローグ」の3種類
- ウィングチップをビジネスに合わせるなら「フルブローグかブラインドブローグで、黒の内羽根」がおすすめ
- ビジネスシーンに合わせてOKだが、フォーマルな靴ではないので場や会う人との関係性を考慮すること
というのがポイントでしたね。
スーツスタイルはもちろん、チノパンなどカジュアルスタイルにも合わせやすいので、種類と色を考えて選べば、1足でオンオフ兼用の活躍をしてくれること間違いなしです!
冠婚葬祭やかしこまった場など、フォーマルさが必要な場面には履くことはできないため、初めての革靴にはおすすめできませんが、2足目、3足目で少し遊びのある革靴が欲しいという方には向いている靴と言えるでしょう。
※ちなみに、1足目ならフォーマル度の高い革靴を選ぶのがおすすめです。
レザーズでは、ウィングチップだけでなく、ほかにも様々な靴の種類を紹介しています。
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